絶望した!

id:kadotanimitsuru 社会  とりあえず買い専でもいいからコミケに行けばいいんじゃないかな。/不良ごっこと本質的阻害の問題がごっちゃになってるかも。まあそれこそが英霊であり動員されるという事なんだろうけど。/近場の護国神社でいいや。

はてなブックマーク - 靖国、8月15日 - 地を這う難破船


kadotanimitsuruさんにコミケ童貞と思われていたことに絶望した!


コミケ童貞もリアル童貞も私は中学で捨てております。先輩オタクに誘われてサークル参加の手伝いもよくした。以来、ブランクがあったりしつつも、去年も一昨年もその前の年もそのまた前も(ry最終日は欠かさず推参しているうえに米澤嘉博氏の葬儀にも参列したこの私の靖国に対するそれ以上に深いコミケに対する愛が涙目。


8月16日も参上のうえブルーシートオフ@コミケ76開催のお知らせ - 東京横浜オーケストラにも参加してオフ会童貞さえも捨てたところです(junkMAさん、inumashさん、その他ブルーシートオフ参加された皆様、その節は有難うございました。大変楽しかったです)。


真面目な話、これは批判とか皮肉とか苦情ではなくて、kadotanimitsuruさんが私をコミケ未経験と判断された所以については思うところがあります。8月15日の靖国神社で感じ入っている類をblogにうpする者はその翌日コミケに参上しない、と常識的には考えられている、ということですか。


もちろん、8月16日の有明でも私は感じ入ることがありました。それは、前日の靖国で感じ入ったことと問題設定において連関しないわけではない。ただ、連関させて述べることはやめました。ただでさえ込み入った話がいっそう込み入るし、ただでさえDQNの責任をオタクが社会的に取らされている構図がいま現にあるのだから。ネトウヨの四文字において靖国コミケを安直に結びつける類の話には辟易しています。


人生は万華鏡であり、人生が万華鏡である以上、靖国もまた万華鏡である。にもかかわらず、李纓監督は、彼自身が人生の万華鏡を知りながら、しかしその人生の万華鏡が宗教とイデオロギーの合金においてテンプレートに表象される姿をしか映し出そうとしなかった。それが彼の靖国信仰観であり、映画のコンセプトでもあり、映画の残念の所以でもある。


――私の記憶では、映画の上映を断固支持した宮台真司の、映画の内容に対する批判はそのようなものでした。私も同意です。私は李監督の『味』という作品も観ているので、人生の万華鏡を知っている彼が、しかし人生の万華鏡が任意の文化表象に収斂されるその「現場」をこそ撮る人であることは知っている。否定でなく、およそ肯定として。


李監督は、大雑把に言えば「一途」を撮りたい人なので、その問題意識が靖国神社に投影されたとき、人生の万華鏡は8月15日の靖国という(もはや文化表象でさえない)宗教とイデオロギーの合金の特異な表象へと縮減されてしまう。靖国神社の「ゆるさ」とは、万華鏡であることで、その万華鏡はしかし「天皇を中心とする神の国」に包括されてある。


私は、コミケの万華鏡が「天皇を中心とする神の国」に包括されてあるとはつゆ思わない。だから、連関させて述べることはしませんでした。愛国心は悪党の最後の砦、という言葉はよく知られています。しかし私は思うのですが、個人の実存にあっては、砦なくして人生の万華鏡もない、そういう人たちがいる。それをして知的にサボっていると指摘することは、もちろん可能ですが。


現実に、個人の実存の砦は政治的な動員に利用され、それは結果人生の万華鏡さえ当人においても他者においても剥奪する。歴史が証明している。今年の8月15日の靖国の「例年通り」の剣呑に、その端緒を見ることは可能でしょう。


なお。ティーンの頃の私が滑稽と思ったのも、その光景が一見「不良ごっこ」に見えたからです。そうではなくて、本職の不良も8月15日の靖国に来る。境内にはある合意がある。そういう場所である、ということです。それは、この国における共同体の崩壊の有様でもある。


共同体の崩壊は、しかし共同体的存在であるしかない人間において、大いなる引力を要請する。それが英霊である、ということです。共同体的存在であるしかない人間は、なるほど知的にサボってるのかも知れない。ゆえに動員に容易く利用されることは、違いない。


とはいえ、私は、人生の万華鏡を政治的なテンプレートに落とし込むことが好きではない。コミケの万華鏡を「10万人の宮崎勤」に落とし込むことが好きではないように。それは、単なる偏見でしかない。靖国神社の万華鏡も、同様です。8月15日であっても、いや、8月15日であればこそ。「護国神社でいい」というのは、その通りと思います。なお、このエントリはkadotanimitsuruさんのブックマークコメントに対するレスとして20日に書かれたものなので、tikani_nemuru_Mさんへのレスは、また改めて。