柄が大きい


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飛び飛びで見ていた。松下奈緒は比較的好きだ、というか面白い。文字通りの意味にて、身体や顔の造作に限らず万事に亘って大柄なところが。なんというのか、この人の顔面芝居は色々な意味ですごい。ただでさえメリハリの強烈な「絵に描いたような美人顔」という造形なのに。時にマンガにしか見えなくなる。


昔、高嶋政伸日本アカデミー賞新人賞を受賞した際に「柄の大きな演技」という意味合いにて評されて故ナンシー関が「ものは言いよう」と記したものであるが、まさにそれ。


つまるところ感情表現が全面的に不自然であり人工的でありあまりにもわざとらしく百面相というか福笑いで、つまりは一生懸命ではあれど現在の段階においては下手であることに疑いはないのだが、そのことに本人も気が付いているのか、少なくとも製作者側は気が付いているらしく、かかる傾向を逆手に取ったキャラクターに仕立てていた。他人のために故意にそのように振る舞い楽屋明かしについても公言する、ポジティブな演技的人間、と。ハマッていた。


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数々のCM、ドラマなどに出演をし、その感性豊かな演技は注目を集めている。


感性豊かな演技……間違ってはいない、かな。で、この人、バラエティーなどで見かけても、同様なのね。造作の明瞭な顔立ちが、くるくるとメリハリ強く福笑いの如く切り換わる、わざとらしく大柄な表情。ただ、そうした傾向が、あまり「自意識過剰」というふうに痛々しく見えないのは、まさに、本人の柄の大きな人柄というか天性の資質に拠るものなのであろう。育ちも良いのであろうし、リテラルに、時にリテラル過ぎるくらいに、若々しく健康的、ということ。プロフィール見たら、22歳であるのか。


松下奈緒 - Wikipedia


なお、ドラマ中における徳重聡とのカップリングは良かった。徳重もまたガタイがデカく大柄振りにおいて松下と並んだ際に拮抗していることは言うまでもないが、無骨な男が女という社会的存在とその表裏的な複雑性(超粗雑な表現にて申し訳ない。通して見ていたわけでは全然ないので)を如何に理解し時に男前に誤解していくか、情けなくかつ格好良く描いていた。演出の手柄であろう。


少なくとも徳重聡は、ナルシズムを相対的にも持ち合わせない人なのだな。その意味では、やはり古風な男だ。松田優作伝来の、格好悪いことの格好良さを天然の如くわかっている。現在の松下奈緒もまた、そうした意味にて、つまり言葉本来の意味での天然なのであろう。むろん努力家でもあろう。努力が一目瞭然なのが、現在の段階においてはちと厳しい。かような資質を引き上げれば、伸びるのではないかな。と一視聴者が勝手な感想を書いてみた。薄いけれども、ファンですよ、為念。市川実日子も好き。キューティーハニー以来。