『硫黄島からの手紙』が私に教えてくれた16のこと


・馬を愛する人間に悪い人間はいない。

・犬を愛する人間に悪い人間はいない。

・ケンワタナベは異性愛者でしたよね。サー・イアン・マッケラン(orサー・ジョン・ギールグッド)と同種の瞳と微笑みを感じました。

・いやそれ以前にイーストウッドが以下略。

・そもそも戦争映画というものが略。

・ケンワタナベがセルフ介錯に失敗するシーンは笑うところですよね?

中村獅童が生き残るのは笑うところですよね?

中村獅童の形相を眺めていたら『日本で一番長い日』(by岡本喜八)の天本英世を思い出しました。

中村獅童の顔を眺めていたら伊藤雄之助を思い出しました。日本が誇る顔面役者として頑張ってください。

伊原剛志イーストウッドの重厚な演出をもってしても日本のドン・マイアミバイス・ジョンソンとしての型を揺るがせもしませんでした。立派です。原田芳雄と同様に、伊原剛志はいつでもどこでも伊原剛志。バロンを演ろうとナチュラルに伊原剛志(総理大臣を演ろうとナチュラルに原田芳雄)。

・冒頭の戦没者顕彰碑に刻まれた岸信介。当方の心中に日本的なコンテクストが以下略。

・愛國婦人会の奥さんの『ブラック・ダリア』のフィオナ・ショウばりの顔面演技を堪能。いるんだよね、ああいう当事者性を盾に専横を通す人。リアル知人の話ですが。

・かくも気の入った万歳三唱シーンを目にしたのは初めてだと友人の弁。ケンワタナベの物真似がマイブームとして流行っています。

・晩餐シーン、ケンワタナベのカツラがどこの江畑謙介かと以下略。そもそも黒々とした七三分けのケンワタナベがもはやありえない。

・「日本人よ、これが戦争だ」とか言わないのはグッド。中井貴一は好きだけれども。いや当てつけているのではなくて、予告編のハイライトに填め込み得る、取って付けたようなこれ見よがしの決め台詞がないことが、この場合はグッドということ。「それはない」としか取れない台詞は言わせない、という倫理。

・御大は偉大だ(本心。一種のネタエントリです、為念)。