RETS ONDO AGAIN

 「クイックジャパン」の最新号、サンボマスター山口隆と対談してる大滝詠一、いや、すさまじいわ。何がって、スナフキンなひねくれ者振りが。山口への応答たるや、何があったら人間これほど屈折できるのかと、それも50過ぎて。
 山口の名だたる常軌を逸した屈折と屈託振りが、初々しい茶坊主の反抗にしか見えなかった。ひねくれの格と年季と方向性が、あまりにも違う。さすがいまなおプライベートに暴力革命継続中の、挫折した叛乱の世代は違う。しかも大滝、帝王のように幼児的。
 丸谷才一に似た風貌の、ニコニコとした眼の奥で、陰湿な帝王のアナーキシズムが獰猛で幼児的な火柱を吹いている。癇症。無頼漢。丸谷もまた、齢80を迎えてなおそーゆー癇癪持ちの荒くれ者である。ひとりで戦争続けてるのだ。
 まさに「たったひとりの反乱」。


 大滝と比べたら、というか比べるのも間違いだが、数号前の同誌で山口と対談していた山下達郎など、どれほど率直でまっすぐだったか。アノ達郎が。とりあえず山口の質問にちゃんと答えて、会話が成立していたから。「音楽家同士」として。
 もはや大滝の自意識として、彼は音楽家ではないのだろう。では何?
 市民としての革命アナーキスト。東北に遁世する歩く人民戦線。
 つまりは、ドゥルーズ的な意味での無頼漢。
 ホッキョクグマ連れてくれば、ライオンにも勝てるのである。より獰猛で市民的な野獣のカードで。醒めた気狂いには、誰も勝てないとも言う。幼児とナイアガラには勝てない。