朝8時の和也


昨日の朝、ぼんやりと「とくダネ!」つけっ放しにしていたら、福田和也がコメンテーター席に借りてきた猫のように納まっていて茶漬け噴いた。ちょwwwwwwwwセンセwwwwwwwwレギュラー?


福田和也 - Wikipedia

テレビは存在価値を認めないとして出演することは殆ど無かったが、2006年4月から「とくダネ」のレギュラーとなった。


4月からか……朝起きていればワイドショー流しっ放しでザッピングは日課だが、1度も見たこと無かったぞ。教育基本法改正の問題を取り上げていたから、その件でも召還か。TV出るとして、なんでまたよりにもよって「とくダネ」のレギュラー。小倉智昭やおすぎにフレンドリーに呼びかけられる朝8時の和也。『昭和天皇』執筆中の文芸評論家福田和也。そんな奇景を拝める日が来るとは思わなかった。銀座伊東屋で仕立てたよなグレーの背広に真紅のネクタイ。丸っこくて愛嬌よし、昭和天皇モデルの眼鏡、その奥で光るトレードマークの怜悧な眼もかの能天気なスタジオにおいてはウヤムヤにされ、山高帽が似合いの昭和の似非紳士(というか紳士のパロディ)として朝のお台場の風景に見事にマッチングしているのだった。


以前、TBSの早朝情報番組に日垣隆がレギュラーで出演していたときにも思ったことは、寄席芸人としての才なき文筆家はワイドショ−とかに出るとどうしても輝き失せるな、という世の摂理の再確認。親近感は湧くが。ブランド物のスーツとタイに隙なく身を固めた動く日垣は男前なのだが、痩せて小柄で誠に神経質そうにも見えたのだった。文筆家宮崎哲弥の華麗な才筆をよく知る者として、かのスーツに寸詰まった猪首は誠に……みなそんなことは百も承知で国民の玩具としてダイブしているのだが。


しかし朝8時の和也は意外と器用で如才なくて、反応も早く話しぶりよく早口で短時間で的確にコメントをまとめてみせる。知識人がTVで啓蒙するには(典型として姜尚中のような)独特の才がいるのだが、福田和也はさすがに達者だった。そして何より声がよい(私はラジオでの彼を知らない)。以前講演を聞いたときには気が付かなかった。そのときは、自分は書くことに関しては大いに自負があるが、人前で話すことは苦手、と言っていて事実そのような感じであったのだが。インタビュアーはともかく観客からは眼を逸らす、というか。たとえば浅田彰もそうで、いやむろん彼はおそるべき早口の雄弁だが、客前のトークショーなどでは自分が話さないときは常に眼を伏せている、物を見て話す癖が付いている、とのことだが。


しかしもう10年はヲチしているが福田和也はずいぶんと白髪が増えた。46歳。もとが童顔なので白髪もまた具合よく風貌に陰影を加えているのだが、私の感慨は、そうかやはり福田和也は白髪を染めないか、との合点に行き着く。


某所で押井守宮崎駿について放言した。宮さんは司馬遼太郎になろうとしているんだ。宮崎が司馬を敬愛していたことは有名で、そして押井が言うに、司馬さんが死んでからあの人は自分の白髪を染めなくなったんだ。御覧なさい現在のあの綺麗な総白髪を。宮さんは司馬遼の路線を継承しようとしている。言うまでもなく、皮肉と逆説とアイロニーに満ちたいつもの押井節である。翻訳ソフトにかけると、日本人の心に訴求する国民的存在としてのインテリの系譜は、白髪によって証され継承されていくと。


唐突にエントリを終わる。福田和也はガチではない、パロディ演ってるに46万ペリカ。似非司馬。